試験研究施設における向精神薬取り扱いについて
向精神薬は“麻薬及び向精神薬取締法”により規制され、取り扱いに注意が必要です。
今回は、試験研究施設における向精神薬の取り扱いで必要な内容をまとめました。
目次
1. 種類
2. 登録
3. 譲受け・譲渡し
4. 保管
5. 廃棄
6. 記録
7. 事故対応
8. 製造量等の届け出
9. まとめ
1.種類
向精神薬はの乱用の危険性と治療上の有用性により3種類に分類されています。
2.登録
向精神薬の製造・製剤・譲受け・譲渡しをするためには、“登録”を受ける必要があります。
※登録の期限はいずれもありません。
※登録証の記載事項に変更が生じたとき、向精神薬に関する試験研究を廃止したとき、
法人たる設置者が解散したときは、30日以内に、登録を行った地方厚生(支)局長
又は都道府県知事へ届け出る必要があります。
3.譲受け・譲渡し
向精神薬を譲り受けることができる相手、譲り渡すことができる相手は下記のとおりです。
※薬局開設者、医薬品の卸売販売業者は、向精神薬卸売業者の免許を受けた者とみなされます。
※向精神薬営業所とは、向精神薬営業者が免許を受けて業務上向精神薬を取り扱う店舗、
製造所、製剤所及び薬局のことです。
4.保管
保管場所:登録をした施設内
保管条件:研究従事者が実地に盗難の防止に必要な注意をしている場合以外は、
かぎをかける必要があります。
※向精神薬注射剤(ペンタゾシン、ブプレノルフィン等)は特に乱用・盗難のおそれが高いので、
保管管理を厳重にし、不正使用や盗難防止に一層留意しましょう。
(保管例)
①薬品倉庫に保管し、夜間・休日で保管場所を注意する者がいない場合
その出入口にかぎをかける必要があります。
②ロッカーや引き出しに入れて保管し、夜間、休日で必要な注意をする者がいない場合
ロッカーや引き出しあるいはその部屋の出入口のいずれかにかぎをかける必要があります。
5.廃棄
向精神薬の廃棄については、いずれも許可・届け出は必要ありませんが、
第一種向精神薬と第二種向精神薬は、廃棄の記録が必要です。(記録については、次項「記録」を参照ください。)
6.記録
向精神薬の記録について、【譲受け・譲渡し、廃棄】【輸入・輸出、製造】の注意事項を確認しましょう。
※記録の保管期間はいずれも最終記載の日から2年間です。
【譲受け・譲渡し、廃棄】
・同一法人の営業所等との間で譲受け・譲渡しがあった場合も、記録する必要があります。
・ 向精神薬が記載された伝票の保存をもって記録に代えることができますが、
向精神薬が記載されていない伝票とは別に綴ってください。
・使用に関する記録は必要ありません。
・第3種向精神薬については記録義務はありませんが、譲受けについて記録し、
定期的に在庫確認をすることが望ましいです。
【輸入・輸出、製造】
・製造とは、合成すること、抽出すること、精製することをいいます。製剤化することは 含まれません。
・使用に関する記録は必要ありません。
7.事故対応
事故発生時の対応方法は、事故の内容によって届け出要件や届け出先が異なります。
事故内容に応じて適切な対応ができるよう、事前に確認しましょう。
8.製造量等の届け出
向精神薬試験研究施設ごとに、下記内容の届け出が必要です。
該当する場合は忘れずに届け出ましょう。
♦届け出先
登録を行った地方厚生(支)局長又は都道府県知事
♦対象期間
毎年1月1日から12月31日までの間
♦届け出内容
① 前年中に輸入し、輸出し、又は製造した向精神薬の品名・数量
② 輸入又は輸出の相手国の名称
※輸入、輸出、製造した向精神薬がない場合でも、届出は必要です。
※向精神薬の製剤、使用、譲受け又は譲渡しについては、届け出る必要はありません。
♦期日
毎年2月末まで
9.まとめ
向精神薬の取り扱いに関する注意事項を確認し、
麻薬及び向精神薬取締法を遵守した管理にお役立ていただけますと幸いです。
(参考資料)
・厚生労働省「試験研究施設における向精神薬取り扱いの手き」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index.html